ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

才能ある研究者は国の宝です

新しい学問領域としてのマリンバイオテクノロジーを確立してきた松永是氏。
研究者には、研究を楽しむ資質が必要だと説く。

Tadashi Matsunaga

松永 是

海洋研究開発機構 理事長

微生物は環境の掃除屋

 東京工業大学の学生の頃から、微生物の研究をしてきました。私が学生だった1970年代の後半は、高度経済成長のひずみともいえる公害が大きな社会問題になっていました。今でいえば環境汚染ですね。微生物を活用することで、その環境汚染を解決できないかと考えたのが、微生物を研究するようになったきっかけでした。下水などの排水が微生物により分解されていることでもわかるように、微生物は環境の中の掃除屋という働きをしているのです。

 もちろんすべての微生物がそうだというわけではありません。発酵によってお酒やヨーグルトをつくる微生物もあれば、病原菌として人に悪い働きをする微生物もあります。

 いろいろな微生物を研究してきましたが、特に力を注いだものの1つが磁性細菌です。体内にマグネトソームという磁性体を持っていて、磁気を感知することのできる細菌です。体内に磁石をつくることができるようなものです。

 私がこの微生物を初めて発見したのは、池の中からでした。東京農工大学のそばにある公園の池の底の泥をさらい、そこにいた微生物を電子顕微鏡で観察したところ、体内に磁石のあることがわかったのです。

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