名門大学同士の統合

　大阪公立大学は、2022年４月に大阪市立大学と大阪府立大学が統合してできた大学です。

　市大と府大はいずれも約140年の歴史があります。これだけの歴史と伝統を持つ大学の統合は、極めて珍しいケースといえるでしょう。大学は、教員数や学生数の規模がその力の源泉になります。市大も府大も大学としての規模はそれほど大きくありませんでした。このままでは大学間の競争が激化する中で、埋没してしまう。そういった危機感から両大学の統合が実現したのです。

　両大学の学部学科を見てみると、意外にも重ならない部分が多く、統合によってお互いに補完し合えることがわかりました。例えば市大の持つ医学部は、府大にはありません。一方で府大は獣医学部を持っています。両大学の統合により、これからは医獣連携ができるようになります。これができる大学は全国でも珍しいです。将来的には医獣連携により新たな学際領域が誕生する可能性もあります。

　もちろん両大学に重なって存在する学部学科もあります。そうした学部学科は今後、徐々に再編していくことになります。統合のシナジーが本格的に発揮されるのは、そうした再編が進んでからのことになるでしょう。