ハリマ化成グループ

伝説のテクノロジー

誰もが走りを楽しめる心地良さ

障がい者も健常者も分け隔てなく走ることを楽しめる施設として
2016年に建設された新豊洲Brilliaランニングスタジアム。
その屋根を支えるフレームには、カラマツの集成材が使われている。

新豊洲Brilliaランニングスタジアム

木材は循環型資源

 「よく晴れた日には、ここが屋内だということを忘れそうになる」

 新豊洲Brilliaランニングスタジアムの利用者には、そんな感想を語る人がたくさんいる。

 見上げると一見青空が広がっているように見える。だがちゃんと天井(屋根)がある。この天井、ETFEというフッ素系樹脂素材の膜でできている。これが透明に近い膜なので、晴れていれば空の青さが透けて見えるのだ。おかげで日中は照明をほとんど使わなくてもすむほど室内が明るくなる。ただ、そのままの状態だと日差しで室内の温度が上昇してしまうため、外側にはシルバー、内側には白のドット模様をプリントすることで、遮熱効果を上げている。

 この膜は2重構造になっていて、内側に空気が送り込まれている。つまり、風船のようになっているわけだ。そうすることで屋外の風圧にも耐えられるようになる。ETFEの膜は薄くて軽量だが強度に優れているため、滅多なことでは破れたりしないという。「鳥の巣」の愛称で知られた2008年北京オリンピックのときの主会場・北京国家体育場にもETFEが使われていた。しかし日本ではETFEを使った大きな構造物は、このランニング施設が初めてだと言われている。

 ETFEの膜は鉄骨の梁で支えられている。その梁と組み合わされているのが、カラマツの集成材でつくられたユニットフレームだ。鉄骨の梁とこのフレームが相互に支え合うような構造になって、屋根全体を支えているのである。

 「木材は持続可能な循環型資源であるという考え方で、この施設の設計者は都市の木造化という理念を掲げています。松はとても強い材料で、大空間をつくるときに松を使うことは珍しくありません。オープン当初はとてもいい木の香りがしました。そうした香りはリラクゼーション効果があると言われています」

 そう語るのは太陽工業建設株式会社事業統括本部営業本部のシニアエンジニア、名波紳二さんだ。東京ドームの屋根や埼玉スタジアム2002のスタンド屋根など大型膜面構造物で高いシェアを持つ同社は、このランニング施設の建築事業主でもある。

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