ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

フルオラスケミストリーで新しい反応法・新材料の開発を実現

松原 浩

材料の回収が容易にできる

それは防ぐことができないのですか。

 できないわけではありません。溶けにくい材料でつくればいいのです。ただ、溶けにくい材料というのは合成もしづらいのです。有機物というのは溶液でつくるのが基本ですが、溶けないと精製ができません。そこが難関で、この1カ月くらい、この実験を任せている学生も「どうしよう」と悩んでいます。

 精製できないということは分析もできないということで、分析できなくても電池はつくれますが、それでは再現性に問題がありますし、成分を聞かれて答えられないのではしょうがないですからね(苦笑)。電池はかつて日本のお家芸でしたが、今は韓国や中国に圧倒されています。だから何とかものにしたいと思っています。それにはもっとこの分野の研究者が多くなる必要がありますし、フルオラスの認知度を高めることも必要でしょう。

 今、フルオラスの溶液を修飾して、そのもの自体に機能や選択性を持たせることができないか検討しているところです。フルオラスの修飾は簡単なことではありませんが、すでに研究は始めています。

先ほどおっしゃった材料の回収が容易にできるとはどういうことですか。

 フルオラス化合物は他の化合物と混ざらない性質があると最初にお話ししましたが、フルオラス化合物同士は仲がいいんです。だから反応が終わった後にフルオラス化合物をフルオラス溶媒で洗うと、分離することができます。それを使って材料が回収できないか実験してみました。有機溶媒とフルオラス溶媒を混ぜて、つくった合成物をその中に入れたとき、どちらの溶媒にどれくらいの割合で行くか調べたのです。

 そうすると、たとえばアセトニトリルの溶媒に私たちがつくったRf4-BQというフルオラス化合物を入れると、4割くらいがフルオラス溶媒の方に行きました。別のフルオラス化合物は7割くらいがフルオラス溶媒の方に行きました。1回で7割回収できるのであれば、同じことを5回くらい繰り返せばほぼ全量、回収できるようになります。

親フッ素部(フルオラス置換基)を持つ化合物はフルオラス溶媒に溶ける。

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