伝説のテクノロジー
和弓矢製造
矢師・小山泰平(たいへい)さん
鉄粉と松やにで重心を調整
箆がある程度まっすぐになったら今度は小刀で削り、表面の凹凸を整えていく。削りすぎると箆がへたってしまうし、削り方がよくないとバランスが崩れるので、細心の注意が必要になるという。
削り上げた箆は再び釜に通して再度、入念に矯めていく。まっすぐになったら水と砂をつけて小刀の削り目がなくなるまで磨き、一度洗ってから乾燥させ、さらに火を通して矯めていく。そして木賊(とくさ)を使って艶が出るまで研ぎ、最後に釣り合わせの作業を行う。弓道の競技では弓を引く回数は4回が基本となっている。そのため、矢の販売も4本、または6本を1セットにするのが一般的だ。しかしこのセットの中の一本一本に、重さや重心に違いがあることは望ましくない。それを整えるのがこの作業だ。
「鉄粉と松やにと油を混ぜ、釣りだねをつくります。太めの線香のような形に成形してから適当な長さに切り、竹の中の空洞に入れて熱した箸で押し込みます。そうすると松やにが溶け、竹の中にしっかりとくっつく。その重さで、箆の重心バランスをとるのです」
この作業を終えたら、最後は箆の端に羽根と鏃(やじり)を付けてできあがりだ。