伝説のテクノロジー
キュウリ生産
農業・田口則男さん
ふるさと納税の返礼品にも
そして今年度、美浜町はふるさと納税の返礼品として、有田みかんや紀州南高梅と並んで「松キュウリ」をラインナップした。龍神さんは、「コロナが落ち着いたので、また全国を回って販促していきたい」と意気込む。まさに、町を挙げてのバックアップだ。
現在、ブランド研究会の会員となっているのは16農家。会員になれば松葉堆肥を無償で使うことができる。
「松葉の堆肥は、扱い方が特に難しいということもありません。追加で堆肥をやる必要はありませんし、この堆肥を使っていると土壌もよくなっていきます。できたキュウリはシャッキリ感があり、味もいい。今、試験的にこの堆肥をエンドウ豆の生産に使っている農家もあります。今後は会のメンバーをもっと増やしていきたいですね」(田口さん)
美浜町の人々の暮らしは、松とともにある。煙樹ヶ浜の松林は、町に美しい景観をもたらし、風水害から町を守ってきた。そして、堆肥を通じて、町と松との新たな関係が生まれた。これから、松葉の堆肥が育んだ野菜が、美浜町と松との関係をさらに豊かに深めていくことだろう。
田口則男[たぐち・のりお] 1949年、和歌山県生まれ。キュウリづくりは父親の代から始めた。現在は6カ所にビニールハウスを建て、毎朝6時半頃から現場に出る。「キュウリづくりは1日も休めず、正月も農作業」だという。2023年は「猛暑で大変だった」とこぼす。趣味は日曜大工
左から、龍神直翁さん、田口さん、志賀皓太さん
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