ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

大学や企業の壁を越えもっと外へ

片岡一則

タコつぼ化する研究室

 このとき私は2つのことを学びました。1つは、他の分野の人と話してみると、自分がこうだと考えていたことが、実はとてもばかげたことだと気づくときがあるということ。もう1つは、他の分野の人と話していると、相手が実にくだらないことで悩んでいることに気づくときがあるということです。つまり、自他ともに客観視することができるようになるということです。

 さまざまな学問領域を取り込むためには、この女子医大の研究室のような環境に身を置くことです。自分の専門領域に閉じこもっているとどうしても視野が狭くなります。だから私は東大で自分の研究室を持つようになったときも、いろいろな専門の学生が集まり、一緒に議論や研究をする仕組みをつくりました。

 そうしたことは大学に限らず、企業にも当てはまることです。

 機械でも電子でも化学でも、ずっと同じ分野のことしか見ていないと、「自分のテリトリーはこれだ」と限定してしまい、その中だけで物事を考えるようになってしまいます。つまり、タコつぼ化してしまうのです。

 研究者には、越境する好奇心が必要です。それを育て、維持するためには、どんどん外の組織に出すことです。といっても、化学会社の研究者を他の化学会社に出すのではなく、化学とはまったく関係ない分野の研究室に送り出すのがポイントです。

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