ハリマ化成グループ

伝説のテクノロジー

伝説のテクノロジー

家具製造

やまとわ代表取締役&家具職人・中村博さん

室内でも屋外でも使える軽さと便利

 2020年、中村さんはアカマツを使った家具ブランドのパイオニアプランツを立ち上げた。

 パイオニアプランツの家具は、小さな折り畳み式。軽いので部屋から部屋、1階から2階へと簡単に持ち運ぶことができ、折り畳めるので収納もしやすい。無垢材なので室内の雰囲気を邪魔することなく、屋外で使うときも自然の景観とよくマッチする。天気のいい日には庭に出して使ったり、ピクニックやキャンプに持っていったりするなど、多様なシーンで活躍する製品だ。また、パイオニアプランツの家具は再利用しやすい設計になっており、不要になったものは回収して新たな木製品の材料として活用することもできる。

アカマツでつくられたウッドチェアは驚くほど軽く、座ると適度にしなるため座り心地もよい。

 「2020年にブランドを発表した直後、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、予定していた展示会出品などがほとんどできなくなってしまいました。でも今はECによる直販のみですが、売れ行きは順調です。木工製品も機械でつくる時代ですが、手で触る家具には一本一本の木のよさ、特徴が出るため、手づくりにこだわっています」

 そういう中村さんたちは、地元産のアカマツを使って、木を薄く削った包装材である経木(きょうぎ)もつくっている。アカマツは抗菌作用があるといわれ、アカマツの経木は江戸時代から食品を包むときなどに使われてきた。本連載でも、2017年の春号(131号)で群馬県の阿部経木店を紹介したことがある。驚いたことに、中村さんはその阿部経木店に「とてもお世話になった」という。

やまとわでは、家具や木材に加えて経木もつくっており、海外でも人気

 「経木と出合ったのは2016年の初頭でした。難しくてつくれるようになるまで1年半くらいかかりましたが、そのときいろいろ教えていただいたのが阿部経木店の阿部初雄さんたちです。国内では一般ユーザー向けの経木のパッケージ品をお取扱いいただいているお店が100店舗以上あり、納豆屋さんやお肉屋さんからの需要もあります。海外では経木を使ったノートが好評で、今は生産が追いつかないほどです」

次のページ: 森林の価値を一人でも多くの人に伝えたい

1 2 3 4