伝説のテクノロジー
家具製造
やまとわ代表取締役&家具職人・中村博さん
森林の価値を一人でも多くの人に伝えたい
やまとわは、パイオニアプランツの製品のほかにオーダーメイド家具やオフィス用の家具などもつくっており、今年は新たに住宅づくりにも挑戦する予定だ。アカマツだけではなく栗やクルミ、桜などの地域産材も使用しているが、中村さんたちは山に入ってどんどん木を伐採しているわけではない。道路をつくるときに切られた木や、大きくなりすぎて切られた街路樹などを引き取って利用することも多い。また経木を削った後の端材を利用して壁材をつくるなど、資源の有効活用に気を配っている。
2016年の会社設立時には5名だった社員が、今は23名。その半数以上は県外から移住してきた若い人たちだ。
「森林は、水や空気、鳥や昆虫を生み出し、素晴らしい価値を人間に与えてくれます。そういう価値を一人でも多くの人にわかってもらえるような活動をこれからも続けていきます。同じ思いを持っている人は日本にも世界にもいる。その人たちとつながれば、きっと何かが変わるはずです」
林業や農業という伝統的な産業に基盤を置きながら、資源循環型の新しいソーシャルビジネスを生み出し、社会を変えていこうとする中村さんたち。今はまだささやかなムーブメントだが、日本の未来はこういうところから開けていくのかもしれない。
中村博[なかむら・ひろし](前列右から2人目) 1969年、長野県伊那市生まれ。最初の就職先だった郵便局を29歳のときに辞め、木工職人に。その後、日本の木材自給率の低さ、放置された人工林などの問題に気づき、地元の木を使うことでの問題解決を目指すように。当初は一人で活動していたが、2016年に株式会社やまとわを設立。現在は農林を軸に、地元産のアカマツを使った家具づくりなどに取り組んでいる。登山は冬山にも登る本格派
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