ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

複素環新規合成法を創製し、有機n型半導体材料の開発に挑む

倉橋 拓也

不純物をゴミとして出す

どういう方法ですか。

 まず二酸化炭素が入っている、つくるのが比較的簡単な複素環をつくります。反応性の高い複素環です。その分子の一部を置換すると、不純物が二酸化炭素になります。二酸化炭素は反応性が低いので触媒の邪魔をしたり、できた高分子に吸着されたりすることなく飛んでいってしまいます。反応性の低い不活性な二酸化炭素をゴミとして出してしまうというところがポイントです。

その方法だと、イレブンナインの純度のものができるのですか。

 それに近いものはできます。正直言うと、まだそこまで測定したことがありません。普通の元素分析程度では、そこまでの精度を保証できないんです。他の反応と比べたら純度が高くできていることは間違いありません。効率的に反応していますし、反応自体もきれいです。イレブンナインにして半導体として使えるかどうかということになると、僕たちだけでは難しいので、企業と組むことも考えています。

―ここまでで一番ご苦労されたのはどういう点ですか。

 反応効率がよすぎて、できた化合物が溶けにくいため分析のしようがないところですね。側鎖の置換基をつけて溶解度を高めることで対応しましたが、6~7種類は試したでしょうか。学生は大変だったと思います。

ひとつの種類を試して結果が出るまでどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

 1ヵ月くらいでしょうか。方向性が決まれば方針を立てやすく、いいところに収束していけるのですが、最初はどちらの方に向いていけばいいのか分からなかったので時間も手間もかかりました。

反応合成物の単離精製には、フラッシュ自動精製システムを活用して実験の効率化を向上させる

 

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