One Hour Interview
複素環新規合成法を創製し、有機n型半導体材料の開発に挑む
倉橋 拓也
単分子エレクトロニクスへの挑戦
方向が分からないときはどうするのですか。
そこは、経験と勘でしょうか(笑)。あとはいかに学生を奮い立たせるかですね。「これはいいかもしれないからやってみたら」と言って気分を乗せるようにします(笑)。溶解度は科学計算で予測するのが難しく、初めはやってみないと分からないところがあります。
今はどういう段階なのでしょうか。
どうやってデバイスを組んでいくかというところで、一緒にやってもらえる企業を探しているところです。僕たちはn型をつくっているわけですが、p型と組み合わせたときどうかというのが一番大事です。でもそこは高度な分析装置などが必要なので、僕たちだけでは力不足です。ただ、京都大学の吉田キャンパスにナノテクノロジーハブ拠点ができ、最新鋭の評価装置などがあるので、そこを活用するのもひとつの手かなと最近は思っています。
他にはどのようなテーマの研究をされているのですか。
単分子ソレノイドコイルの研究もしています。今までお話しした研究から派生してきたテーマで、まだ実現されていないインダクタンス特性を有する単分子エレクトロニクス材料の創製に挑戦しているところです。
新しい反応を開発した結果、それができるようになったということですか。
そうですね、自分たちの知識と経験を活かして誰もできなかったものをつくりたいと思っています。
オリジナリティが大事ということですか。
新しいことをしようとすると、重箱の隅をつつくようなことになりがちな面もあります。でも、もっと大きな、重要なことが見過ごされてきたのではないか。誰かが見過ごしてきたものをちゃんと拾って明らかにしないといけないとも思います。