One Hour Interview
光応答性分子で表面レリーフを形成
生方 俊
タッチの差だった世界初
資料には「アモルファス薄膜系、汎用高分子系において表面レリーフ形成ができることを世界で初めて報告した」とあります。これはいつのことですか。
論文を発表したのは2012年です。
実は、ほぼ同じタイミングでアメリカの研究者も同じような研究をしていました。私は最初、アメリカの化学誌に論文を投稿しようとしたのですが、修正を求められたので要求どおりに修正しました。それをまた投稿したら、今度は掲載できないといわれました。仕方なく日本の化学誌に投稿しましたが、その直後にアメリカでほとんど同じ内容の論文が発表されたんです。正直そのときは「その論文があったから私の論文の掲載ができなかったのか」と邪推しました(笑)。でもアメリカの論文には私の論文が引用されていたんです。そう考えると、私の論文が最初だと認めてもらえたようで、うれしかったです。
こういうテーマで研究している人は相当いるのですか。
「光応答性の分子を使ってレリーフのようなものをつくる」というテーマに絞ると、知っている範囲で、世界でも数十グループ、というところだと思います。
先生が資料に書いていることで「有機DFB(分布帰還型)レーザーが実現できれば、我が国のITインフラを世界に類のないレベルにまで引き上げ、この産業分野における我が国の優位性を確立できる」とありますが、その可能性はいかがですか。
それは松籟財団に助成のお願いをするための申請書なので、かなりオーバーに書いてあります(笑)。そういうレーザーが汎用的に使われるようになると用途も広くなって面白いとは思います。ただ、それは有機ELのようにそれ自身が電界をかけて光るというようなことができないと、難しいかもしれません。