ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

美しい構造の分子を追い求めて

雨夜 徹

刺激多い他分野との交流

名古屋市立大学の研究環境についてはどう評価されますか。

 名古屋市立大学の総合生命理学部は、生命という名前がついていますが、化学のほかに数学、物理学、生物学、地学、情報学を学べる理学部系の学部です。しかし、1学年の学生数はわずか43人。理学部系学部としてはたぶん、日本でいちばん小さいと思います。けれどもこの規模で、それぞれに専門の先生がいらっしゃるので、これまではほとんど交流のなかった分野の先生方や学生たちと密に話せる機会が多く、エキサイティングな状況です。小さいことはよいことだ、ですよ。ここに来て本当によかったと思っています。これから、他分野の先生方とダイナミックな共同研究をやっていきたいと考えています。

合成実験室にて、分液漏斗を使った抽出実験を行う

どのような考えで研究室を運営されていますか。

 私自身がそうでしたが、研究を楽しむことが学生の成長につながると信じています。だから学生が主体的に研究できる雰囲気を大切にし、自分で考えて取り組める研究室にしたいと考えています。

 ただ、研究を存分に楽しむためには基礎知識が欠かせません。学生には、実験だけでなく基礎的な勉強をしっかりするようにいつもいっていて、年間を通して毎週欠かさず勉強会を開いています。そのため、私の研究室は、決して楽に乗り切れるところではないかもしれません。しかし、せっかく大学に入ったのだから思い切り研究したいという学生も確実に存在します。そういう学生を伸ばすことも私たちの大事な仕事だと思っています。

名古屋市立大学 大学院理学研究科 教授 雨夜 徹[あまや・とおる] 1976年、愛知県生まれ。東京工業大学工学部化学工学科卒業。同大大学院理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。米国スクリプス研究所博士研究員、大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻助手、助教、講師、准教授を経て2021年4月より現職。米国スクリプス研究所での経験から「研究は自己表現」と考えるようになった。「学生は学生のペースで研究を楽しむことが大事。研究を通して着実に成長できる、そんな場を提供したいですね」と語る。

[第36回 松籟科学技術振興財団研究助成受賞]

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