One Hour Interview
超分子材料設計学により生体系を超える材料構築を目指す
髙島義徳
ケミカルとフィジカルの自己修復
本当に不思議ですね。
私たちの生体を考えたとき、すべてが共有結合でつくられているわけではありません。非共有結合を駆使して、複雑な組織体は構築されています。そこで、非共有結合で超分子の材料をつくると、未知の領域のところに飛躍的な革新が可能になるのではないか。革新的な超分子材料ができるのではないかと考えています。
資料には「生体系を超える材料構築」とありますが、生体系を超えるというのはどういうことですか。
単純に言えば、生体系にはない材料機能を目指すということです。切った材料が再接着するというのは、界面の分子認識に基づいていると考えられます。分子が相互にパートナーを認識してくっつくということです。接着という現象が、生体系でないわけではありません。傷口が治癒してくっついていく状態は、接着という現象に似ています。細胞と細胞は、自己と他者、自己と自己を認識しながら組織体を形成し、それが臓器となって機能を生み出していく。そう考えれば、高分子の接着という現象も、新たな機能を生み出していくことができるかもしれません。
超分子科学の力で、集合体としての機能を生み出すようなことができれば、面白いと思います。もちろんそれをすぐそのまま社会実装するということではありませんが。