ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

安全で安心して暮らすための長寿社会づくりを

住田裕子

日本の政策課題は女性と高齢者の活躍

 その背景には、相変わらずの男性優位の国民の意識と社会構造があります。象徴的に現れるのが「男は仕事、女は家庭」という固定的性別役割分担意識です。欧米諸国ではすでにこのような役割分担について、否定派が8~9割と大勢であるのに、日本では肯定派と否定派とがほぼ拮抗しています。この意識は家庭のみならず職場など社会のすみずみまで行き渡っているのです。

 子どもは母親の手で育てるべし、少なくとも3歳まではそうしないと、子どもが健全に成長しないという「母性神話」「3歳児神話」も浸透しています。その結果、日本の女性は学校卒業後、働き始めても第1子誕生により、約6割が退職してしまいます。労働力率のカーブがそのとき急激にへこむのです。子どもの手が離れたら、再就職しますが、そのほとんどがパートなど非正規社員。昇進・昇格はほとんどなく、男性に比べると生涯賃金はずっと低くなります。

 我が国は、2008年から人口減少が始まりました。労働力人口の減少はすでに1998年から始まっています。今後も少子高齢化とともに人口減少が先進国最速の速度で進みます。戦後の高度経済成長は、ベビーブームの人口増加による「人口ボーナス」のたまものでした。これが逆の「人口オーナス」になり、需要、供給ともに下がり、経済力・国力の低下につながる恐れが高いのです。ですから、意欲、能力のある人材、すなわち女性と高齢者などの活躍が政策課題となるのは必然なのです。

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