次代への羅針盤
やりたいことをやればいい
細野秀雄
学問の深さと役に立つかどうかは別
しかも一発ではなく、インパクトのある成果を継続的に出すことができるかどうかで研究者の評価は決まります。そこはもう運は関係ない。大変な努力をしないと競争を生き残ることはできません。私もこの10年間は研究のエネルギーの半分以上はそこで使ってきたくらいです。この10年、超伝導の分野は本当に大変な状況でした。
ただ、学問としての深さ、難しさと世の中の役に立つかどうかは別の尺度です。非常にいい超伝導体ができればエネルギー革命が起きるでしょう。しかし現状では、将来的に超伝導が成功するかどうかもまだ分からないのです。
最近は、役に立つかどうかということばかり問われる風潮があります。しかし、すぐに役に立つ研究ばかりやるのであれば、大学の役割はいらなくなります。早くても5年先、普通は10年先くらいに役に立つというのが、大学でのスタンダードな研究テーマです。すぐ役に立つ研究ばかりしていたら大学は企業の下請けになってしまいます。
超伝導の分野で今、一番進んでいるのは中国です。私はそう思います。ただ中国の科学技術研究では、まだ画期的な成果はほとんど出てきていません。中国がうまいのは、改善です。かつての日本がそうだったように。