次代への羅針盤
化学に効率を求めてはいけない
相田卓三
アクアマテリアルの開発
今、プラスチックゴミによる海洋汚染が世界的な問題になっていますが、超分子重合によってプラスチックに替わる材料ができれば、その問題の解決につながる可能性があります。もちろんそうしたことを実現するにはまだまだ多くの研究が必要ですし、コストなどの問題も解決しなければなりませんが、できる可能性はあると思います。
私はアクアマテリアルや自己修復性のガラスを開発してきましたが、これらも超分子重合の考え方を発展させたものと言えます。
水をたくさん含んだゲル状の物質はこれまでにもありました。ゼリーとか寒天もそうです。ただ、ゼリーや寒天は脆弱で、何とか形を保っていてもすぐに壊れてしまいます。それでは材料としては使えません。
物性には、「柔らかい」と「硬い」のほかにもう一つ、「堅牢」という概念があります。硬くても堅牢でないものは、叩くと簡単に壊れてしまいます。いろいろな力を加えても壊れないのが堅牢という意味で、多くの場合、材料には堅牢さが求められます。